2008年04月28日

山本文緒「再婚生活」

山本文緒「再婚生活」(角川書店)読了。
この本を読もうと思ったのは、昨年、著者がNHKの番組で鬱病体験を語っているのを見たからだ。
この本で語られるのは、鬱病を患う中での生活と、回復していくまでの軌跡。
早く元気になりたい、頑張りたいと思っているのに、思うようにならない自分の体へのいらだちや、王子(旦那さまのこと)に会いたいと思うのに、一緒にいると感じてしまうストレス。
その自分ではどうすることもできない胸の内が、刻銘につづられていく。

入院中の病室にパソコンを持ち込んでまで続けられた日記が、2年のブランクを経て再開されたとき、心の変化とともに再婚生活も変わっていく。
自分の体との付き合い方を考えさせられた一冊。

『症状が本当にひどかった時期を、私は覚えていないわけではないが、霞がかかったようにうまく輪郭をもってくっきり思い出せないのだ。断片的には覚えている。王子と両親とマシマロを悲しませてしまったことを。
 元気になることでしか、それを償えないような気がしている。』

ラベル:山本文緒 読書
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2008年04月25日

走る意味  桂望実「Run!Run!Run!」

桂望実「Run!Run!Run!」(文藝春秋)読了。
主人公岡崎優は、走るたびに記録を塗り替えてきた天才ランナー。
大学へ入学し、オリンピック金メダルへの通過点として、箱根駅伝を走るつもりでいる。
そんな時、家族にある事件が起こる。
そして、母が漏らした一言が大きな疑惑となって優に襲いかかる。

「陸上は個人戦だから仲間はいらない」『駅伝も個人戦』『自分の走行区間で、大会区間記録を狙うだけ』と言い切る主人公の傲慢さに、読んでいていらいらする。
けれど、傲慢な主人公が壁にぶつかって仲間の大切さを知る、というようなストーリーを想像していたら、見事に裏切られた。
ぶつかった壁の前で、優は走る理由を考えつづける。
その答えにたどり着いたとき、私はすっかり主人公が好きになっていた。
このラストはとてもすき。ああ、おもしろかった。
ラベル:桂望実 読書
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2008年04月22日

『蜷川幸雄と「さいたまゴールド・シアター」の500日』

橋田欣典・須賀綾子・強瀬亮子・埼玉新聞取材班『蜷川幸雄と「さいたまゴールド・シアター」の500日 平均年齢67歳の挑戦』(平凡社新書)読了。
「これからの人生を、プロの俳優に賭ける人」という蜷川の呼びかけに集まった、平均年齢67歳の普通の人たち。
芝居経験のない素人の高齢者を集めた劇団の、結成から第一回本公演までの日々の成長の記録だ。
思い通りにはなかなか動けない体、病気や怪我や、進まないせりふ覚えなど、老化との闘いの中で、ときに厳しいダメ出しを何度も受けながらもぶつかり合っていく蜷川と劇団員たちの様子に、何度も涙がこぼれ落ちそうになった。
どれだけダメ出しを受けてもあきらめない、残りの人生をもう一度自分と向き合いたい、夢を追いかけたい。
年齢を重ねた人の力強さに頭が下がる思いがする。
30年後、私もこの人たちのように生きられているだろうか。
この本に出会えてよかったなと思った一冊。
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2008年04月17日

刺激的な読書  岡崎武志「読書の腕前」

岡崎武志「読書の腕前」(光文社新書)読了。
桜の咲く新学期、配られた新しい教科書に順番に名前を書きいれたら、さっそく国語の教科書のページを開く。
今年はどんなお話があるだろう。
早く確かめたくて、教科書を開くのが楽しみだったことを、『国語の教科書は文学のアンソロジー』と題された章を読みながら思い出す。
本との出会い、古本屋との上手な付き合い方、朝日新聞の「ベストセラー快読」連載の裏話、本を読むための旅についてや、数ある蔵書の中からのおすすめ本まで、「岡崎流読書術」が満載されている。

読書の楽しみは個人的なものだ。
だからこそ、他人の読書生活が気になるし、それに触れることはとても刺激的なのだ。

『印刷された文字を追うことに没頭することでしか気づくことのできないもの。その手ごたえ、おもしろさを知ってしまったら最後、読書の楽しみは一生捨てられやしない。』
ラベル:読書 岡崎武志
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2008年04月11日

音楽に酔いしれる夜

昨夜、久しぶりにライヴに行った。
佐藤竹善ツアー「INGIGOなウタヂカラ」だ。
昨年発売されたアルバム「INDIGOicon」「ウタヂカラ〜CORNERSTONES4〜icon」からの曲を中心に、Sing Like Talkingの懐かしい曲や、いつもの楽しいおしゃべりも絶好調で、濃密な時間が流れていく。
ライヴの後半、会場が盛り上がる中で、不思議な感覚におそわれていた。
感動なんて言葉では表し切れない、大きな熱いものがこみ上げてくる。
時間や空間をこえて、世界中のすべてが今この瞬間にあるような。
見上げれば無数の星がきらめく宇宙の中で、音が降ってくるような。
音楽の力をこれほどまでに見せつけられることがあるなんて。
音楽は偉大だ。
そう思って下を見ると、前の席で小学生くらいの女の子が静かに寝ていた。
子供も偉大だ。
こみ上げてくる感情に身を任せながら、そんなことを考えていた。
ラベル:音楽 佐藤竹善
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