2009年01月24日

青井夏海「星降る楽園でおやすみ」

青井夏海「星降る楽園でおやすみicon」(中公文庫)読了。
午後6時10分、横浜にある無認可保育園に二人の男が押し入った。
人質は子供5人。身代金1人500万円。タイムリミットは深夜12時。
子供たちと共に閉じ込められた園長の早紀は、園内のスタッフに共犯者がいるのではないかと疑い、何とか子供たちを連れて逃げる方法を思いめぐらす。
しかし、姪である淑恵との間で、保育園の経営方針をめぐる対立が深まるばかりで、助けを呼ぶこともできない。
人質の家族はそれぞれ、子供の救出を試みるが、次第に夫婦の間での子育てに対する思いの違いが明らかになり、事態は思わぬ方向へ進んでいく。

読み進めるほどに、穏やかなタイトルからは想像できない、それぞれの闇が見えてくる。
幼いなりに状況を理解し、懸命に生きる子供の「ただいま!」の一言がとても愛おしく思えた。


☆この著者の過去の読了本
「赤ちゃんがいっぱい」
「赤ちゃんをさがせ」
ラベル:読書 青井夏海
posted by haru at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月21日

杉本苑子「私の万葉集」

杉本苑子「私の万葉集」(集英社文庫)読了。
今月初めから、NHK教育にて「日めくり万葉集」という番組を放送している。
この番組を見ていたら、万葉集の本が読みたくなって、いつか読もうと思っていた積み本の中から探し出したのがこの本。

私が万葉集と出会ったのは、氷室冴子「なんて素敵なジャパネスク」を読んだ中学生の頃。
主人公、瑠璃姫のもとに、鷹男の帝から「人妻ゆえに」と万葉集の一節を引いた文が届く。
この額田王と大海人皇子の歌も、もちろんこの本に登場する。

歌の意味や、その時代の政治背景や生活様式や人間関係を知っていくと、難しい言葉の羅列だったものが、少しずつ輝いてくる。
今よりずっと、自然に近く、心を言葉でつづることに敏感だったころ。

『梅の花 降り覆ふ雪を 裹み持ち 君に見せむと 取れば消につつ』
たとえばこんな歌がとても好き。

posted by haru at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月05日

瀬戸内寂聴訳「源氏物語 巻四」

瀬戸内寂聴/訳「源氏物語 巻4icon」(講談社文庫)読了。

昨年中に読み終わりたいと思っていたのだけれど、後半のばたばたで計画変更となり、今年も引き続き源氏の世界が続くことになった。

巻4は、『薄雲』から『胡蝶』まで。
明石の姫君が紫の上のもとで育てられることになり、明石の上と姫君との別れの悲しみと、藤壺の尼宮が病でなくなる悲しみから始まる。

相変わらず気の多い源氏は、朝顔の姫宮を熱心に口説き、疑う紫の上に『人よりは比較にならぬほど落ち着いていると思っていた』自分でも後悔することがあるのだから、浮気な男はどれだけ後悔するだろうなどと語っていて、笑ってしまう。
夕顔の君の忘れ形見、玉鬘の姫君を引き取り、親代わりだと世話をしながらも口説いてしまうのだから、まったくもう。

『乙女』では、葵上との間に生まれた長男夕霧と、内大臣の娘雲居の雁の姫君との幼馴染の恋が描かれる。
娘を入内させたいと考えている内大臣は二人の恋を知り、怒って引き離してしまう。

夕霧と雲居の雁の恋の行方、源氏に言い寄られる戸惑う玉鬘の将来、六条に広大な邸を築き女君を集めた源氏の栄華はいつまで続くのか。
これから先も気になる展開が続く。
posted by haru at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 さ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。