2010年05月17日

あさのあつこ「ありふれた風景画」

あさのあつこ「ありふれた風景画」(文春文庫)読了。

この物語の主人公の二人と私に、共通する点はほとんどない。
高校時代を思い返しても、ウリをやっているという噂もなかったし、鴉と会話も出来ない。
周囲からこんなに孤立した存在でもなかったと自分では思っている。

けれど、どうしてこんなにわかってしまうのだろう。
10代の頃、琉璃と同じように、『わたしはわたし、誰のものでもない』と思っていた。
頼りたくない、一人でちゃんと生きていきたい、揺らぐことのない自分でいたいと。

わたしも、こんなふうに痛々しいくらいの強がりを抱えていたのかと思う。
時は流れていくけど、全てが変わっていくけど、でもきっと大丈夫だよと口にしてみたくなった。

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2010年05月15日

布施英利「京都美術鑑賞入門」

布施英利「京都美術鑑賞入門」(ちくまプリマー新書)読了。

数年前まで、毎年一度は京都を訪れていた時期がある。
お寺を見て、仏像を見て、庭を見る。
何に惹かれて何度も足を運んでしまうのか、自分でも答えは見つけられていないけれど、そういう時間が好きで、また行きたいなあと思っていた。

『京都初心者に向けた本』とはじめに書かれているけれど、もっと知りたい、もっと見たい、と「もっと」をいっぱい刺激される本だ。
今まで何となくすごいなと思って見ていたものが、すっと視界が広がったような気持ちになる。

今度京都へ行ったら、と妄想しながら読む。
たとえば庭を見るなら、遠近法に注目してみよう、垣根を見よう、苔を見てみよう、などと夢は広がる。
何度もページをめくって、いつかまた京都へ行こうと思う。
ラベル: 読書 京都
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2010年05月09日

瀬戸大橋を渡って

夫と大塚国際美術館へ行く。
数年前からずっと行きたいと思っていた念願の場所だ。

お昼前に到着。
エスカレーターを上り入口を入るとすぐ正面に『最後の審判』が見えてくる。

システィーナ礼拝堂を再現したその部屋に足を踏み入れ、はやる気持ちを抑えて、天井画を見上げながらゆっくりと近づく。
絵について詳しいことはよくわからない。ただ絵のある空間が好きで美術館に出かけている。
近づいて見て、少し離れて見て、並べてある椅子に腰かけてまた見る。
座っているとそこから動けなくなりそうで、あわてて立ち上がる。
まだまだここはスタート地点。ここで止まらずに進まねば。

順路をたどって次に見たのは、フェルメールの部屋。
最初から有名な名画が続くことにびっくりする。

このフロア、B3Fは古代や中世の絵画が中心。
ギリシアの壺やポンペイの壁画などがたくさん並んでいる。
楽しみにしていたのは、スクロヴェーニ礼拝堂。
買い物途中の家電量販店で、大画面テレビに映し出されていた壁画に目を奪われた。
星がちりばめられたような天井画がとても幻想的。

1フロア見終わったところで、レストランで昼食タイム。
また途中で、コーヒー休憩をしようと言いながら、次のフロア、B2Fへ。
ここにはルネサンス期の絵画がたくさん。
昨年フィレンツェのウフィツィ美術館で見た絵も多くあり、うれしくなる。
館内では美術ボランティアによる説明なども行われていて、近くに来た時は一緒に耳を傾ける。
参加してみたい気持ちもあったけれど、今回は自分のペースで見たかったので見送ったのだ。
通常では近づけないほど間近で見ることができ、写真撮影もできる。
原寸大の迫力を好きなだけ味わうことができる。
B2Fを廻りながらふと時計を見ると、なんと閉館時間まであと2時間ほどしかない。
まだまだ見たい絵がたくさんあるのに、このペースでは間に合わないではないか。
予想していたよりもずっと広く、数多くの絵画がある。
方向音痴の私には迷子になりそうな空間だが、ふと気付くとシスティーナ礼拝堂が上階からのぞけたりするのはとても楽しい。

急ぎ足で廻りながら、『モナ・リザ』やモネの『大睡蓮』の中で記念撮影をする。
このフロアで一番楽しみにしていたのが『最後の晩餐』。
いつかもう一度イタリアへ行けるときがきたら、この絵の本物も見てみたいなあと思う。

B1Fでは、大好きなモネの『日傘の女』を発見。
ルノワールやマネ、ゴッホを眺め、『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠』の前でため息をつく。
もっとゆっくり見たいけれど、もうあまり時間がない。

1F2Fは駆け足で。
1Fにある『ゲルニカ』はどうしても見たかった。
中学1年の美術の時間に『ゲルニカ』を知った。
それまで、まるで絵のセンスのない私は実技ばかりの美術の時間が好きではなかった。
けれど、黒板に貼られた平らな絵が、授業を終えるころ、立ちあがってくるように存在感を増して見えたあの時、絵を見ることの楽しさを知ったのかもしれないと思う。

5時間半もいたけれど、まだまだ見たりない感じ。
結局コーヒー休憩もなしで、渦潮も見に行きたかったのに行けずじまい。
また次回、もう1度は必ず来なければ。

家に帰ると頭痛がひどくなり、痛み止めの力を借りて寝る。
これではまるでルーブル熱みたい、と一人で笑ってしまった。
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