2016年02月20日

上橋菜穂子「夢の守り人」

上橋菜穂子「夢の守り人」(新潮文庫)読了。

守り人シリーズ3冊目は、人生に希望が持てなくなった人に幸せな夢を見せ、夢の中にとらえてしまう「花」の世界をめぐる話。
夢にとらわれ眠り続ける姪を助けようと、危険な場所へ飛び込み、罠にはまってしまうタンダ。
皇太子という立場に絶望しているチャグムもまた夢の中にとらわれてしまう。

もうずいぶん昔、朝なんて永遠に来なければいい、目覚めなければいいと、毎日願いながら眠っていた日々が私にもあったことをふと思い出した。

読みながら、なんでこの本のタイトルは「花の守り人」でなくて「夢の守り人」なんだろうってずっと思っていたけれど、それが分かった瞬間、胸の中に温かいものがさあっと広がっていった。

毎日を一生懸命生きていくことが、どれほど強くて尊いことかを改めて教えられたような気がしている。


『おれにはね、人がみんな、<好きな自分>の姿を心に大事にもっているような気がする。なかなかそのとおりにはなれないし、他人にはてれくさくていえないような姿だけどね。
 少なくとも、おれはその姿をもって生きてきた。そして、どうしたらいいかわからない分かれ道にやってきたら、どっちに歩んでいくほうが<好きな自分>かを考えるんだ』


posted by haru at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月09日

青井夏海「赤ちゃんはまだ夢の中」

青井夏海「赤ちゃんはまだ夢の中icon」(創元推理文庫)読了。

自宅出産専門の助産師コンビが出会う妊婦さんはそれぞれ謎を抱えていて、伝説の助産婦明楽先生の推理が楽しい、助産師探偵シリーズの三作目。
検診に毎回立ち会う熱心なプレパパであるご主人を捨てて、新しい恋人のところへ行きたいという妊婦さんや、大きくなったおなかを抱えて居候の世話に追われる妊婦さん。
他の登場人物も、それぞれ問題は違っても、自分の気持ちを素直に言葉にできない不器用な人たちばかりで、愛おしくなる。
特に、第四話『守ってください』は、なんだか自分を見ているみたいで苦しくて、でも聡子さんの『大事なものを一つだけ取りなさい』という決断に背中を押してもらえた気がして、とても好き。
四作目も期待してます、青井さん。


読んでくださってありがとうございます。
応援していただけるとうれしいです。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
posted by haru at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月13日

恩田陸「不連続の世界」

恩田陸「不連続の世界icon」(幻冬舎文庫)読了。

久しぶりに恩田陸の作品を読んだ。
やっぱり好きだなあと思う。
とりとめのない思考や会話から、どんどん不思議な世界に引きずり込まれていく感じ。

5編の短編の中で、映画の撮影現場を見ると周りの人が死ぬという「幻影キネマ」が好き。
「砂丘ピクニック」の舞台になっている鳥取砂丘には行ったことがあるけれど、
『大きな砂の赤ん坊が寝てるみたい』とか『宇宙みたいね』とか、思いもしなかったたとえが出てきて、
びっくり。もう1回行ってみたくなった。

まだ読んでいない恩田作品を何冊か積んだままにしている。
いつ読もうかなと思うのも、楽しい。
タグ:恩田陸
posted by haru at 22:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年05月17日

あさのあつこ「ありふれた風景画」

あさのあつこ「ありふれた風景画」(文春文庫)読了。

この物語の主人公の二人と私に、共通する点はほとんどない。
高校時代を思い返しても、ウリをやっているという噂もなかったし、鴉と会話も出来ない。
周囲からこんなに孤立した存在でもなかったと自分では思っている。

けれど、どうしてこんなにわかってしまうのだろう。
10代の頃、琉璃と同じように、『わたしはわたし、誰のものでもない』と思っていた。
頼りたくない、一人でちゃんと生きていきたい、揺らぐことのない自分でいたいと。

わたしも、こんなふうに痛々しいくらいの強がりを抱えていたのかと思う。
時は流れていくけど、全てが変わっていくけど、でもきっと大丈夫だよと口にしてみたくなった。

posted by haru at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年03月12日

江村洋「ハプスブルク家の女たち」

江村洋「ハプスブルク家の女たち」(講談社現代新書)読了。

タイトル通りハプスブルク家の女性たちと、王家の結婚についてスポットをあてた本。

先日読んだ「名画で読み解くハプスブルク家12の物語」とは同じ人物を取り上げていても、ずいぶん違う印象を受ける。
その違いも知りたくて読んだのだが、この本の方が女性に冷たく思えたのは、著者が男性だからだろうか。

女性は「子供を産むための道具」などという記述が何度も出てくると、胸が痛くなる。
時代に翻弄された女性もいるけれど、荒波に立ち向かった女性や恋を貫いた女性をみると、なんだか嬉しくもなる。

650年も続けば、色々な人物がいるのは当然のことだけれど、地位や権力よりも愛を選んだ男がいたり、地位も愛も両方手に入れようとした男がいたり、そういうあれこれがやっぱりとてもおもしろいと思う。
posted by haru at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の話 あ行の作家 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。