2009年04月14日

養老孟司・角田光代「脳あるヒト心ある人」

養老孟司・角田光代「脳あるヒト心ある人icon」(扶桑社新書)読了。

「自分」について、「言葉」について、「宗教」について、「才能」についてなど、さまざまなテーマで語られたリレーエッセイ集。
それぞれの切り口の違いから、予想を超えた方向に転がっていく話題がとてもおもしろい。

たとえば、「死」について。
『どうせ死ぬんだから、好き勝手でいいじゃないか。それももっともである。どう生きたところで、これまでの人生以上に長く生きる心配はない。どう生きようが、構わないという、そこのところが、実に何とも言えない。大丈夫、間もなく死ぬ。そういう確信が持てる年齢になると、気持ちが本当に自由になる。歳をとるのも、悪いことじゃありませんよ。』
などと、養老先生に言われると、ふっと気持が軽くなったような気がする。

付箋を付けながら読んでいたら、付箋だらけになってしまった。
好きなところのいっぱいある本。
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2009年03月19日

金原瑞人「翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった」

金原瑞人「翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだったicon」(ポプラ文庫)読了。

翻訳家になったいきさつ、翻訳の裏話(たとえば気になる翻訳の収入についても)、出会ってきた本の話、どれもおもしろく読んだ。

今まで、翻訳小説はあまり読んでいない。
それは翻訳ものが苦手だからというわけではなく、国内の好きな作家の本でさえ追いかけきれていないため、海外のものまで手が回らないのだ。

そこには私のまだ知らない世界が広がっている。
お気に入りの翻訳家の訳書をたどってみるのも楽しいだろうなあ。
ああ、翻訳小説が読みたい。
ラベル: 読書 金原瑞人
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2008年06月20日

加納朋子「ぐるぐる猿と歌う鳥」

加納朋子「ぐるぐる猿と歌う鳥」(講談社)読了。
小学5年生になる春休み、森(シン)は東京から北九州に引っ越すことになった。
東京ではいじめっ子だと言われていた森に、新しい街で仲間ができる。
ココちゃん、あや、竹本5兄弟、そしてパックという名の謎の少年。
この街で、少年たちが抱える秘密とは?
途中までは、物語がどこへ向かっているのかわからなくて不安だったけれど、100ページを過ぎた辺りから、俄然おもしろくなってきた。

大人から見れば、森は落ち着きがなく乱暴者で怪我の絶えない嫌われっ子。
でも本当の森は、賢くて優しい心を持っている。
身勝手で理不尽な大人の多い中で、知恵をしぼって助け合う子供たちの活躍がたのもしい。
子供って、大人が思うよりずっといろんなことを感じて、考えている。
通ってきた道のはずなのに、いつの間にかそれを忘れてしまうね。
それでも、本当に困ったときは大人に頼ること。
それを選ぶこともまた、大きな勇気だと思った。

あとがきの中で、著者自身が触れているけれど、ぜひ『ちゃちゃちゃ探偵団』を発足して欲しい。
シリーズとして、また読みたいな。


☆この著者の過去の読了本
 「モノレールねこ」
ラベル:読書 加納朋子
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2008年06月17日

久美沙織「コバルト風雲録」

久美沙織「コバルト風雲録」(本の雑誌社)読了。
集英社文庫コバルトシリーズの誕生から最盛期を駆け抜けた著者の記録。
デビュー当時の出版社でのアルバイト体験や、編集者とのやりとり、人気作家としてのファンとの交流などを、赤裸々に語っている。

ダンボール箱で届くファンレターの全てに返事を書いていた日々。
自分の書きたいものと、読者にウケるものが違っていくことへの葛藤。
10代の女の子たちの無邪気な残酷さに悩み傷つく様子や、ゲームノベライズに必死に取り組む様子など、著者の作家としての情熱や思いが伝わってくる。

小学校高学年から中学にかけて、わたしもコバルト文庫をたくさん読んだ。
子供の頃から本は好きだったけれど、わたしの今の読書生活には、このころのコバルト文庫との出会いが大きく影響していると思う。
その中でも、特にわたしは氷室冴子さんが好きで、「ジャパネスク」シリーズは何度も読み、好きな場面は暗記して友だちと言い合っていた。
その氷室さんの訃報は、大きなショックだった。
「銀の海金の大地」も「碧の迷宮」も未完のままになってしまった。
「ジャパネスク」の続きも、まだまだ読みたかったけれど。
心から、ご冥福をお祈りします。
ラベル:久美沙織 読書
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2008年06月07日

川上弘美「古道具 中野商店」

川上弘美「古道具中野商店」(新潮文庫)読了。

『携帯なんか、嫌いだ、とわたしは思う。いったいぜんたい、誰がこんな不便なものを発明したのだろう。どんな場所どんな状況にあっても、かなりな高率で受けることのできる電話なんて、恋愛―うまくいっている恋愛も、うまくいっていない恋愛も―にとっては、害悪以外のなにものでもない。』

今はもう慣れたけれど、携帯を持ち始めた当初、わたしは携帯が嫌いだった。
家に電話をかけてつながらなければ、出かけてるんだな、って納得できるのに、携帯にかけて出なければ、どうして電話に出られないんだろう、と余計なことを考えてしまう。
出るなり、後でかけ直すから、と慌しく切られてしまったら、かかってくるまで何も手につかない。
そんなことを友人に訴えても、えーそうかな、と言われてしまって誰の同意も得られなかった。

中野商店は、少し変わっていて、けれど、落ち着ける近しい場所。
不器用な登場人物たちが、とてもいとおしい。

『好きで、ばかみたい、と思う。好きって、ばかみたいな感情、と思う。』


☆この著者の過去の読了本
 「ほかに踊りを知らない。」
ラベル: 読書 川上弘美
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