2010年05月15日

布施英利「京都美術鑑賞入門」

布施英利「京都美術鑑賞入門」(ちくまプリマー新書)読了。

数年前まで、毎年一度は京都を訪れていた時期がある。
お寺を見て、仏像を見て、庭を見る。
何に惹かれて何度も足を運んでしまうのか、自分でも答えは見つけられていないけれど、そういう時間が好きで、また行きたいなあと思っていた。

『京都初心者に向けた本』とはじめに書かれているけれど、もっと知りたい、もっと見たい、と「もっと」をいっぱい刺激される本だ。
今まで何となくすごいなと思って見ていたものが、すっと視界が広がったような気持ちになる。

今度京都へ行ったら、と妄想しながら読む。
たとえば庭を見るなら、遠近法に注目してみよう、垣根を見よう、苔を見てみよう、などと夢は広がる。
何度もページをめくって、いつかまた京都へ行こうと思う。
タグ: 読書 京都
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2010年05月09日

瀬戸大橋を渡って

夫と大塚国際美術館へ行く。
数年前からずっと行きたいと思っていた念願の場所だ。

お昼前に到着。
エスカレーターを上り入口を入るとすぐ正面に『最後の審判』が見えてくる。

システィーナ礼拝堂を再現したその部屋に足を踏み入れ、はやる気持ちを抑えて、天井画を見上げながらゆっくりと近づく。
絵について詳しいことはよくわからない。ただ絵のある空間が好きで美術館に出かけている。
近づいて見て、少し離れて見て、並べてある椅子に腰かけてまた見る。
座っているとそこから動けなくなりそうで、あわてて立ち上がる。
まだまだここはスタート地点。ここで止まらずに進まねば。

順路をたどって次に見たのは、フェルメールの部屋。
最初から有名な名画が続くことにびっくりする。

このフロア、B3Fは古代や中世の絵画が中心。
ギリシアの壺やポンペイの壁画などがたくさん並んでいる。
楽しみにしていたのは、スクロヴェーニ礼拝堂。
買い物途中の家電量販店で、大画面テレビに映し出されていた壁画に目を奪われた。
星がちりばめられたような天井画がとても幻想的。

1フロア見終わったところで、レストランで昼食タイム。
また途中で、コーヒー休憩をしようと言いながら、次のフロア、B2Fへ。
ここにはルネサンス期の絵画がたくさん。
昨年フィレンツェのウフィツィ美術館で見た絵も多くあり、うれしくなる。
館内では美術ボランティアによる説明なども行われていて、近くに来た時は一緒に耳を傾ける。
参加してみたい気持ちもあったけれど、今回は自分のペースで見たかったので見送ったのだ。
通常では近づけないほど間近で見ることができ、写真撮影もできる。
原寸大の迫力を好きなだけ味わうことができる。
B2Fを廻りながらふと時計を見ると、なんと閉館時間まであと2時間ほどしかない。
まだまだ見たい絵がたくさんあるのに、このペースでは間に合わないではないか。
予想していたよりもずっと広く、数多くの絵画がある。
方向音痴の私には迷子になりそうな空間だが、ふと気付くとシスティーナ礼拝堂が上階からのぞけたりするのはとても楽しい。

急ぎ足で廻りながら、『モナ・リザ』やモネの『大睡蓮』の中で記念撮影をする。
このフロアで一番楽しみにしていたのが『最後の晩餐』。
いつかもう一度イタリアへ行けるときがきたら、この絵の本物も見てみたいなあと思う。

B1Fでは、大好きなモネの『日傘の女』を発見。
ルノワールやマネ、ゴッホを眺め、『皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠』の前でため息をつく。
もっとゆっくり見たいけれど、もうあまり時間がない。

1F2Fは駆け足で。
1Fにある『ゲルニカ』はどうしても見たかった。
中学1年の美術の時間に『ゲルニカ』を知った。
それまで、まるで絵のセンスのない私は実技ばかりの美術の時間が好きではなかった。
けれど、黒板に貼られた平らな絵が、授業を終えるころ、立ちあがってくるように存在感を増して見えたあの時、絵を見ることの楽しさを知ったのかもしれないと思う。

5時間半もいたけれど、まだまだ見たりない感じ。
結局コーヒー休憩もなしで、渦潮も見に行きたかったのに行けずじまい。
また次回、もう1度は必ず来なければ。

家に帰ると頭痛がひどくなり、痛み止めの力を借りて寝る。
これではまるでルーブル熱みたい、と一人で笑ってしまった。
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2010年04月10日

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」

米原万里「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」(角川文庫)読了。

10代の頃、5年間をプラハのソビエト学校で過ごした著者。
そこで過ごした日々と、30年後音信の途絶えた友人と再会し知りえたことが書かれている。

友人を捜して中・東欧を巡る過程は、ミステリーのようにドキドキしながら読んだ。
同時に、自分の無知を思い知らされるような気がした。

『たしかに、社会の変動に自分の運命が翻弄されるなんてことはなかった。それを幸せと呼ぶなら、幸せは、私のような物事を深く考えない、他人に対する想像力の乏しい人間を作りやすいのかもね』
なんていう言葉が胸に残る。

無関心でいてはいけないと思う。
私には知らなければいけないことがたくさんある。
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2010年03月23日

梯久美子「世紀のラブレター」

梯久美子「世紀のラブレター」(新潮新書)読了。

明治から平成までの、政治家、作家、軍人、様々な分野の人物のラブレターを紹介した1冊。

普段他人には見せない、愛する人にしか見せることのない心の奥をさらけ出した手紙は、情熱的なものがあり、読んでいるこちらが照れてしまうようなものがあり、涙を誘われるものがあり、そのどれもが愛にあふれている。

『男性のラブレターの多くが、その人の一般的なイメージとは違う意外な顔をのぞかせているのに対し、女性のラブレターは、生き方、暮らし方がそのままあらわれた、いかにもその人らしい文面なのが面白い。』
こんな男女の違いが見えて来るのもおもしろい。

芥川龍之介のかわいらしい手紙も、橋本龍太郎元首相のストレートな手紙もいいなと思う。
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2010年03月20日

紺野キリフキ「はじめまして、本棚荘」

紺野キリフキ「はじめまして、本棚荘」(MF文庫)読了。

すごく気になる作家の最新作。

『昔はねえ、お家賃というのは本で払ったものですよ』
こんな冒頭の一文だけで、うれしくなってしまう。

主人公はとげ抜き師をしている姉に留守番を頼まれ、本棚荘という本棚だらけのアパートで暮らすことになる。
そこで出会う人たちは、葉っぱのはえた女性や、猫芝居をする猫遣いに、捨てられた野良サラリーマン…??
わかったようなわからないような、でもやっぱり気になって読まずにはいられない。

不思議な人たちが繰り広げる物語は、奇妙でちょっぴり切なくてなんだかやさしい。
この手触りが心地よくて、とてもすき。

最後に、解説を読んでびっくり。
著者・紺野キリフキさんって男性なんだ。
ずっと女性だと思ってました。ますます気になる。


☆この著者の過去の読了本
「ツクツク図書館」
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